日本政策金融公庫から融資を受けるまでの45日間で起きること

日本政策金融公庫とは、創業時や中小企業のなど銀行からの融資を受けにくい企業の発展の為に資金調達の場を提供している政府系金融機関です。様々な制度融資がある事が特徴で、企業や個人の状況にあった融資方法の選択をする事も重要な鍵となります。この日本政策金融公庫から融資を受ける為にはどの様な事が必要となってくるのでしょうか。審査などを経て、あなたの口座に融資成功金額が入金されるまでの45日間で起こる事を、元金融機関職員で現役金融コンサルティングが詳しく説明をします。

日本政策金融公庫とは何を行っているのか

日本政策金融公庫は、中小企業の資金調達を支援すべく設立された政府100%出資の金融機関です。

「一般の金融機関が行う金融を補完することを旨とし、国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達を支援するための金融の機能を担うとともに、内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害、テロリズム若しくは感染症等による被害に対処するために必要な金融を行うほか、当該必要な金融が銀行その他の金融機関により迅速かつ円滑に行われることを可能とし、もって国民生活の向上に寄与することを目的として業務を行っています」

引用:目的ー日本政策金融公庫

 

日本政策金融公庫では大きく分けると4つの事業があります。

いずれも金融の側面から国民や企業をサポートする事業となります。

国民生活事業 小口の事業資金融資や創業支援のほか、入学資金等の教育資金融資等を行う事業
農林水産事業 農林漁業や食品産業についての強化や安定供給を目的として、当該事業者をサポートする事業
中小企業事業 融資や信用保険を通じて、中小企業や小規模事業主の成長と発展を支援する事業
危機対応等円滑化業務 金融危機や災害発生時に、必要資金が確りと供給されるように、指定金融機関(日本政策投資銀行、商工組合中央金庫)に信用供与を行う業務

日本政策金融公庫が行っている金融面のサポートは、大きく分けて2つあります

  1. 融資
    日本政策金融公庫が審査を行い、公庫が資金を貸し出す形態
  2. 信用保険
    日本政策金融公庫が事業者に対して信用保証を供与し、その信用保証を基に一般金融機関が資金を貸し出す形態(信用保証協会等を通じて審査されることが多い)

事業規模や資金使途に応じて複数の融資制度が存在しており、どの融資制度が利用できるのかを検討する必要があります。制度融資にもそれぞれ特徴があり、設備資金に利用できる制度であれば、10年以上の超長期の融資にも対応できます。

利用する融資制度を検討する際のポイント

  1. 資金使途に最も見合った制度に申し込む
  2. 複数申し込みが可能

日本政策金融公庫の融資は事業規模や資金使途での審査基準があるものの、満たしていれば複数の制度融資に申し込むことは可能です。普通貸付制度で融資を受けれなかったとしても、セーフティネット貸付制度では融資が可能という判断になる可能性もあります。

とはいえ、審査は他の金融機関からの借入も含んだトータルでの借入バランスを基準に行われるので、利用可能な制度融資が多いからといって、トータルでの融資可能金額が大きくなるという訳ではありません。

※企業毎に融資上限額が設定されることが多いため、一つの制度で上限一杯まで融資を受けてしまうと、他の制度の基準を満たしても融資を受けられない可能性は十分にあるということ

日本政策金融公庫で融資を受けるまでの45日間

初めて日本政策金融公庫からの融資を受ける場合を想定して、融資の準備段階から口座に資金が入金されるまでの流れを追ってみます。
日本政策金融公庫の審査のスピードは、創業 業績の黒字or赤字や担保有無、繁忙(12月や3月の決算前 等)によって変わってきますが、申し込みから約1か月と考えておいた方が良いでしょう。

①事前準備(15日間)

融資の申し込みに際して、いくつか必要な書類があります。申込書を含め、必要資料の一般的なフォーマットは日本政策金融公庫のHPに掲載されています。

借入申込書等ダウンロード 日本政策金融公庫

初めて融資を申し込む場合に必要となる主な書類

  1. 借入申込書
  2. 事業計画書/創業計画書
  3. 月別収支計画書
  4. 企業概要書
  5. 資金繰り表
  6. 確定申告書及び決算資料(3期分程度)
  7. 履歴事項全部証明書または登記簿謄本

事業計画書や資金繰り表などは、必ずしも日本政策金融公庫のフォーマットを利用する必要ありません。しかし、社内で利用しているフォーマットを提出する場合は、日本政策金融公庫のフォーマット情報が網羅されていることを確認して下さい。情報足りていない場合、資料を追加要求される可能性が高いです。

書類を準備するにあたってのポイントは、「申し込む借入金が完済されるまでの計画を準備すること」です。設備資金などで10年以上の超長期の融資を申し込む場合でも、将来5期分の事業計画は必要と考えておいた方が良いです。
また、月次収支や資金繰りに関しても、実績値を基に、計画に無理がないか審査する場合が多い為、前後1年分程度は準備しておいた方が良いでしょう。また、審査申し込み前に必ず行うべき事があります。

審査申し込み前に必ず行うべき1つの大切な事

国民年金をはじめとした税金未納を無くす事です。

日本政策金融公庫は政府系企業のため、他の金融機関と異なり税金の未納があると審査に悪影響が及びます。国民年金や住民税といった税金の未納分については、事前に支払いを済ませておくようにして下さい。納税する資金がない場合は、納付猶予が可能かどうか等、年金事務所に相談することをお勧めします。

融資制度や事前準備について不明点があれば、日本政策金融公庫が開設している相談ダイヤルや対面相談を活用することもお勧めします。対面相談は各支店窓口に直接向かうか、HPから事前申し込みも可能です。

融資相談に関するお問合せ先 日本政策金融公庫 

予約相談、創業メール相談、創業資料請求 お申込受付ー日本政策金融公庫 

②申し込み~面接まで(15日間)

事前準備をしっかりと行い、融資の申し込み段階となります。

申し込みは日本政策金融公庫の各支店窓口に書類を持ち込むか、HPから申し込むことになります。申し込み後は、事前準備資料を基に審査が始まり、事業計画や返済計画の妥当性が審査されます。
申し込み後1週間程度で、面接の依頼があります。申し込み内容や事業計画等についての質疑応答が主な面接内容となります。追加の資料提出を求められる場合もあります。(以下ご参考)

  • 事業内容の確認(販売先や仕入先、主要商品・サービス等の確認)
  • 資金使途の確認(バウチャーとなる資料を求められる可能性あり)
  • 業績の確認(特に将来予想の根拠)
  • 借入状況の確認(制度融資利用実績を含む借入状況の確認)

また、初めて日本政策金融公庫の融資を申し込む場合、ほとんどのケースにおいて現地調査が入ります。普段事業が行われている事務所や店舗、工場を審査担当者が視察します。主に見ているポイントは以下となります。

  • 営業実態の有無
  • 会社、社員の雰囲気(活気、整理整頓)
  • 社長の人柄(言動や外見)
  • 商品や在庫の量(著しく多くないか等)
  • 事務所や店舗、工場周辺の環境(営業に支障が無い環境かどうか) 等

通常通りに営業をしていれば特に問題はないですが、整理整頓と挨拶の徹底はおこなっておきましょう。

③面接後~借入金入金まで(15日間)

日本政策金融公庫の面接(あるいは現地調査)後、追加での資料提出や質疑応答等がなければ、1週間程度で日本政策金融公庫から融資可否の審査結果が出ます。

融資決定後は借用証書等の融資必要書類が郵送されてきますので、署名捺印等を済まし返送すると、一連の手続きは完了となります。
一般的には、融資実行希望日の3~5日前には手続きを完了させる必要があります。よって、融資決定後~入金までに1週間程度は余裕を見ておく必要があるでしょう。

返済開始~完済まで

返済は基本的に指定口座からの自動振替にるので、返済期間中に必要な事務作業等はありません。もし、繰り上げ返済や返済計画の変更、資金使途の消滅(投資対象プロジェクトの中断等)等が発生した場合は、速やかに日本政策金融公庫へ相談することが必要です。最悪の場合、報告義務違反等により、期限の利益喪失(強制弁済)や訴訟問題に発展する可能性がありますので、期中の変化についても必ず対応・報告することが必要となります

日本政策金融公庫の融資審査に落ちた場合

どんなに事前準備をしても、様々な条件が重なると融資の審査が通らない可能性はあります。しかし、日本政策金融公庫からの融資を受けられなかったとしても、まだ諦めるのは早いです。日本政策金融公庫に関する以下のようなデータあります。

融資残高は18兆3,911億円(平成29年3月末時点)

プロフィール 総融資残高(平成29年3月31日現在)ー日本政策金融公庫 

保証引受残高は23兆1,429億円(29年上期時点)

プロフィール 保険引受残高の状況ー日本政策金融公庫 

一概に比較はできませんが、保証引受の方が多いことがわかります。つまり、日本政策金融公庫は直接融資するよりも、信用保証協会保証を通じた信用保険供与の方が活発に行っているという事です。直接融資を断られたとしても、別の策を検討すれば良いのです。

しかも、創業融資であれば、借入コストは直接融資も保証付き融資もそこまで大差がない可能性もあります。これは、信用保証協会の保証がある場合、金融機関が好条件で融資をしてくれることが多いためです(金利環境や事業規模、業績等に応じて変動するため、都度確認は必須)

  • 日本政策金融公庫の新創業融資制度:金利5~2.0%
  • 一般金融機関の保証協会保証付き借入:(保証料率0~1.5%)+(長期プライムレート1.0%)

信用保証協会保証付き融資は銀行などの一般金融機関が窓口となるため、金融機関との取引状況が重要となります。口座から開設するような、全くの新規顧客ですと審査が通りにくく、条件もいいものがでない可能性が高いです。普段から銀行などの金融機関との関係作りも行っておいた方が何かと便利でしょう。

困ったときには専門家に相談を

事前準備を含め、融資を受けるまでには1か月以上の時間がかかる可能性が高いです。大変な労力をかけるのですから、融資決定をしっかりと勝ち取りたいはず。“なぜ資金が必要なのか”これによって準備すべきものや考えるべきポイントが異なります。なので、事前準備の段階から日本政策金融公庫の相談ダイヤルや窓口の活用をお勧めします。実際に審査する担当者との直接面談こそ、融資決定獲得の早道です。

融資相談に関するお問合せ先 日本政策金融公庫 

予約相談、創業メール相談、創業資料請求 お申込受付ー日本政策金融公庫 

資金繰り表等の資料作成の関しては、会計士または税理士にご相談頂くのも可能かと思いますが、別途料金が発生してしまうかもしれません。その場合、既に取引のある銀行などの一般金融機関の窓口に相談するのも一手です。基本的には、日本政策金融公庫でも一般金融機関でも、審査で必要となる事前準備はほぼ変わりません。ただし、その審査基準が違うため、一般的には日本政策金融公庫の方が、審査が通りやすいと言われています。

 

この他にも、創業時の資金調達については信用保証協会の窓口に相談するのも有効だと思います。創業資金に対する保証制度があります。

お近くの信用保証協会一覧 全国信用保証協会連合会

創業時の資金調達はいずれの手段を採ったとしても、労力のかかるものではありますが、サポートしてくれる仕組みも整っていますので、“急がば回れ”と、じっくり準備することが、融資獲得の最短の道となるでしょう。