3つの融資活用法総まとめ!日本政策公庫融資 保証付融資 制度融資

事業を始めたばかりの方や運転資金の融資をを検討している方は、「どの金融機関が融資をしてくれる可能性が高いか」「どの金融機関の条件が良いのか」など、融資の種類を全て理解した上で検討する事が難しいなと感じた事はないでしょうか?そして、現在選択しようとしている融資の方法は実は間違っているのかもしれない事に気が付いているでしょうか?ここでは新規借入での利用者が多い「日本政策金融公庫融資」「保証付融資」「制度融資」の概要について説明し、各々のメリット・デメリットを理解した上で最適な融資獲得に向けた選択ができるよう。中小企業専門の経営コンサルタントが詳しく解説していきます。

日本政策金融公庫融資とは

日本政策金融公庫は、3つの部門で構成されています。

  1. 国民生活事業
  2. 中小企業事業
  3. 農林水産事業

政策の元で運営している公的な株式会社で、銀行などの金融機関では対応が困難な企業のフォローを行い、民間の活力へとつなげていくことを目的とした金融機関です。事業主の方が最初に融資申込を行う金融機関として一番多いのがこの日本政策金融公庫になります。

【事業毎の特色】

  • 国民生活事業
    対象者:小規模事業者(主に個人事業主) 公庫のみの借入にて十分事業運営可。
  • 中小企業事業
    対象者:中小企業(個人事業主・法人) 将来的には民間金融機関からの融資も視野。
  • 農林水産事業
    対象者:農林水産事業者

今回は①②を対象とし説明します。

日本政策金融公庫の制度概要

①国民生活事業 ②中小企業事業は下記のような特色を持つ制度があります。

  • 新規開業資金 ⇒ 新規に事業を始めようとしている方、開業してから7年以内の方。
  • 女性・若者・シニア応援資金 ⇒ 女性または35歳未満か55歳以上の方で新たに事業を始める方、事業開始後7年以内の方。
  • 再挑戦支援資金 ⇒ 廃業歴のある方が事業を始める際の融資制度
  • セーフティネット貸付 ⇒ 売上の減少・取引先の倒産等により困難を来している方。

銀行などの民間金融機関で審査が厳しいような企業でも、日本政策金融公庫であれば前向きに相談に乗ってくれるでしょう。また、民事再生等の金融事故があった企業や個人でも融資検討出来るような制度もあります。本当に困ったときに必要な融資を提供してくれる、門戸が広く安心できる金融機関と言えるでしょう。

必要書類・審査の流れ

≪必要な書類≫

  • 借入申込書(日本政策金融公庫の書式のもの)
  • 事業計画書・経歴書
  • 直近3期分の決算書・申告書
  • 商業登記簿謄本(法人の場合)
  • 印鑑証明書

≪審査の流れ≫

  1. 必要書類(借入申込書等)を提出
  2. 公庫内にて融資審査
  3. 面接
  4. 応諾通知
  5. 契約書締結

詳しくはこちら→ 日本政策金融公庫から融資を受けるまでの45日間で起きること

以上が手続きの流れです。申込から審査結果が分かるまでは概ね1ヵ月から2ヶ月程度が一般的です。民間金融機関で融資手続きを行う場合、何度も支店に足を運んだり、担当者との面談を重ねた上で融資に至るのが一般的です。勿論日本政策公庫も書類提出後の面談は必ずありますが、取引歴が長くなってくると郵送のみで融資審査対応が出来る場合もあり、民間金融機関と比較するとあなたの時間と労力が少なく済む事がメリットとなるでしょう。

信用保証協会の保証付融資とは

~「信用保証協会」による保証を受けた融資~

信用保証協会は保証協会法に基づき、中小企業・小規模事業者の金融円滑化の為に設立された公的な保証機関です。中小企業・個人事業主が民間金融機関から資金を調達する際、その債務を「保証協会が保証する(信用保証)」することによって資金調達をサポートしています。信用保証協会は各都道府県にあり、地域に密着した業務を行っています。

必要書類・審査の流れ

≪必要な書類≫

  • 信用保証依頼書(各信用保証協会所定のもの)
  • 事業計画書・経歴書
  • 直近3期分の決算書・申告書
  • 商業登記簿謄本(法人の場合)
  • 印鑑証明書

≪審査の流れ≫

  1. 民間金融機関にて申込
  2. 銀行などの金融機関での審査(面接)
  3. 信用保証協会の保証依頼
  4. 信用保証協会より応諾通知
  5. 契約書締結
  6. 融資実行

詳しくはこちら→ 信用保証協会の保証付き融資を受ける流れと手数料

信用保証協会を利用した借入は民間金融機関へ申し込みます。民間金融機関と信用保証協会の両方の審査を通過しなければなりません。審査期間は概ね1ヵ月から2ヶ月程度となります。

債務者が支払不能になった場合、信用保証協会があなたの代わりに銀行などへ債務の弁済を行ってくれます。

※代位弁済といい、以降債務者は金融機関では無く信用保証協会に返済を行うこととなります。

詳しくはこちら→ 信用保証協会の仕組み

保証付融資は民間金融機関において、リスクが低く融資獲得は比較的高いですが、事業主にとっては0.5~1.5%程度の保証料を信用保証協会に支払わなければならず、保証料を金利換算すると通常の公庫融資等と比し、割高になることが一般的です。

制度融資とは

制度融資とは自治体(県や市町村)がその自治体で事業を行っている事業主を支援する為につくられた融資制度のことをいいます。制度融資は一般的に信用保証協会の保証を受けた保証付融資であることが多いです。制度融資を利用すると、地方自治体から保証料や金利の補助を受けることができるので、通常の保証付融資をよりも低金利で融資を受ける事が可能となります。

自治体によって制度融資の内容は様々です。その中でも特に多いのは下記のような制度です。

  • セーフティネット貸付  売上の減少・取引先の倒産等により困難を来している方。
  • 市町村小規模事業資金制度 市町村が独自に企画している融資制度
  • 新規創業資金 エリア内での新規開業を促す為の支援制度

自治体において中小企業事業者は無くてはならない存在です。地域内における事業者の方々が円滑に事業を運営出来る様、多くの自治体が様々な制度融資を設置しています。

必要書類・審査の流れ

事業計画書・登記事項証明書・印鑑証明書・所定の申込書

≪必要な書類≫

  • 自治体の紹介状もしくはあっせん書
  • 各機関指定の申込書
  • 事業計画書・経歴書
  • 商業登記簿謄本(法人の場合)
  • 印鑑証明書    など

≪審査の流れ≫*各自治体で違う場合があります

  1. 各自治体窓口へ行き条件が該当するか審査。紹介状をもらう
  2. 銀行など民間金融機関にて申込と必要書類の提出
  3. 銀行などの金融機関から保証協会へ保証依頼
  4. 保証協会面接
  5. 応諾通知
  6. 契約書締結
  7. 融資実行

 

制度融資の場合、銀行などの民間金融機関・信用保証協会・自治体と3つの機関が関わる為、通常の融資審査よりも時間を要します。自治体での審査は金融機関での審査とは審査基準が異なることが多く、事前に確認することが必要です。一般的に審査には2ヶ月~3ヶ月強かかります。

日本政策公庫融資 保証付融資 制度融資のメリット・デメリット

プロパー融資も含めたメリットデメリット表です。

公庫 保証協会融資 制度融資 プロパー融資
借入金額
制度毎に上限有 上限2億円迄 制度毎に上限有 上限無し
金利 ×
普通 保証料有 割高 補助があり割安 上限・下限無し
期間
制度毎に上限有 最長20年まで可 制度毎に上限有 上限無し
審査時間 × *◎?
1ヵ月~2ヶ月 1ヵ月~2ヶ月 2ヵ月~3ヶ月 二週間~1ヶ月
審査難易度 ××
易しい 普通 普通 厳しい

*審査が厳しい為融資自体受けれない可能性はあるが、過去実績が有る等の条件で非常に早期に融資を受ける事が可能な場合がある。

新規借入を行う場合、審査難易度も低く、条件も比較的悪くない「日本政策金融公庫の融資」から始めるのがスタンダードです。但し、「制度融資」は自治体によって特色が豊かであり、制度によっては公庫融資より良い条件で借入出来るものもあります。金融機関や市役所、信用保証協会等で概要は聞けますので、気軽に相談してみて下さい。

金融機関の使い方

~「日本政策金融公庫」と「民間金融機関」を上手く使う~

新規で借入を行う場合、日本政策金融公庫と制度融資が得策です。但し、どちらも金融機関からの融資ですが、「公的な金融機関からの融資」と「民間金融機関からの融資」という点で下記の様な違いがあります。

◆日本政策金融公庫

政府系の金融機関である為、事業者の業況が厳しい時、比較的前向きに融資検討を行う。

≪申込例≫

  • 新規事業の開業資金を検討の際は、公庫の新規開業資金を申込む。
  • 取引先の倒産等で資金繰りが逼迫した場合、セーフティネット貸付を申込む。
  • 既に民間金融機関で融資取引がある場合、安定した資金調達手段構築の為に、運転資金を申込む。
  • 廃業して間もないが新規開業を検討しているので、再挑戦支援資金を申込む。

◆民間金融機関

営利事業である為、業況が厳しい場合、今後の事業動向を慎重に審査した上で、融資対応を検討する。※一般的に公庫での審査より厳しい場合が多い。

≪申込例≫

  • 自治体に有利な制度融資(金利減免・保証料免除)がある場合。中には公庫より有利な制度も有。
  • 事業が軌道に乗ってきた場合、プロパー融資も視野に入れながら、制度融資の相談を行い有利な条件を引き出す。

銀行などの民間金融機関との融資取引を行うメリット

~銀行など民間金融機関では様々なサービスが受けられる~

公庫の業務は長期資金の貸出だけであり、担当が融資業務以外の経営支援を行うことはありません。しかし、民間金融機関で借入を行い取引先となった場合は下記の様な金融支援・経営支援を受ける事が出来ます。

◆短期資金(商手割引・手形貸付)の借入

◆販売先・仕入先等の紹介

◆補助金等の情報提供等様々な金融支援

◆経営支援

こういった支援は公庫のみの取引ではなかなか受けられるものではありません。長い間、融資実績を積み重ねていけば、低利でのプロパー対応を提案してもらえる可能性もあります。「公的金融機関」と「民間金融機関」の使い分けが重要です。

民間金融機関も複数の選択肢をもっておく

複数の銀行と取引があるとメインの銀行に失礼だという方もいますが、そんなことはありません。取引のある銀行が複数あれば、業況が悪い時でも別の選択肢をつくることが出来ます。また、銀行も各行その時の状況というものがあります。そして融資基準や審査内容も様々です。複数の銀行と関係を構築するのは大変なことですが、必ず訪れる事業の波への対策として常日頃から選択の枠は自ら広げる努力はするべきでしょう。

融資の選択枠を自らの手で広げていく

日本政策公庫からの融資は安定して資金供給を行っているので、事業主の方にとっては大きな安心を得られます。また、制度融資は各自治体ごとに特色があり、知らずに損している場合もあるので、是非役場やホームページ等で確認をしてみて下さい。

日本政策金融公庫・銀行などの民間金融機関どちらも特色があり、事業を行っていく上では両者を上手く活用していくことが大切です。日本政策金融公庫の融資により安定した資金供給を確保した上で、制度融資・保証付融資、ゆくゆくはプロパー融資を利用できる様し、事業拡大に向け必要な資金調達・金利低減を図っていくことがベストな選択だと思います。金融機関と上手く付き合い、事業をより良いものへとしていきましょう。